週間ヤングマガジンで連載されていた(過去形なのが悲しいですが)、野球漫画のヤキュガミが第1部最終回を迎えて完結しました。
と言っても第2部はあるのか?という展開での終了だったんですけどね。打ち切り感たっぷりの巻き巻き展開で第1部が終わったので消化不良感は物凄いです。
私としてはヤングマガジンでかなり楽しみにしていた漫画だったので素材は良かったと思うんですけどね。感想などを書いてみたいと思います。ネタバレもありますのでご注意を。
目次
ヤキュガミのあらすじと設定
まずはヤキュガミのあらすじと設定から書いてみましょうか。
ヤキュガミは、何十年に一度の才能を持つスーパースター野球選手に野球の神様が憑くというのが基本システムです。
野球の神様と本人は会話することができますが、ちょっとしたアドバイス的な応援をするだけで、特に何かができるわけでもなく基本的に神様は見守るだけです。
この野球の神様の存在が読者の視点ともなり、妙に感情移入ができるのがいい点です。主人公が活躍するのをわかっているという安心感と爽快感がヤキュガミの面白さのコアなのだと思います。
もちろん主人公の白戸大輔(ロッド)には野球の神様が憑いていて、圧倒的な打撃の才能と身体能力があります。ただ、貧乏で訳あり家庭出身で、雑草魂からの出世物語というわけですね。
ヤキュガミがダメだった点

ヤキュガミは、明らかに第1部としてここで終わる予定ではなかったはずで、これはやはり人気を取れなかったダメな点があったということでしょう。
基本的にはすごく面白いのですが、悪い点も多く感じたので、第2部の期待を込めてここは正直なところを書いてみます。
まずは画力でしょうか。少し淡白であっさりしすぎな感じがしました。私としてはテンポがよく見やすくてよい点でもあったのですが、もう少し迫力ある動きが必要だったかもしれませんね。
小さなことでは(小さくないかもしれませんが)、休載が多いということでどうしても勢いを削がれてしまい、盛り上がりを継続しづらかった点です。
大きなことでは、野球の神様「ヤキュガミ」を生かしきれなかったことです。結局ただのガヤ要員でしたからね。もっとこう、ファンタジー的活躍じゃないにしろ、うまい使い方があったんじゃないかと思います。
そして個人的に一番気になったのが、登場人物に性格や考え方の悪い人物が多すぎるという点です。
おそらく、この登場人物たちを見返してカタルシスを得るという構図を作りたかったのでしょうが、人物にリアリティがないというか必要以上に愚者が多すぎました。共感が出来なさすぎです。
確かにこのおかげでヒット1本、バックホーム1本にカタルシスも生まれたのですが、それ以上に納得いかない要素として気になってしまうんですね。この辺りは非常にバランスが悪く、致命傷だったのではないかと感じます。
ヤキュガミが2人いた
最初は主人公だけに憑いていたヤキュガミですが、実はもう一人のヤキュガミがいて、しかもそれが同じ関東圏の選手に憑いていたというものでした。
主人公だけの特別設定感がここでかなり薄れてしまったんですね。安っぽさが出てしまい、これから先もヤキュガミが何人もいるかもしれない感は悪い方向だったように思います。
これがライバルとして当初から予定していたのか、低迷を打破するテコ入れだったのかはわかりませんが、なんだか興醒めしてしまった感は多くの読者が感じたことでしょう。
しかもそのライバルと相手のヤキュガミに魅力がない。。。これは痛かったですね。
第1部完で第2部は?
というわけで、中学~高校1年の練習試合までの第1部が最終回を迎えて終わったわけですが、第2部はあるのかという点ですね。
これは、第1部のラストが21歳のWBC出場までワープしてしまったことで、かなり厳しいのではないかと思います。
高校野球最大の見所である甲子園をすっ飛ばしていますし、WBCに抜擢されるまでのプロ野球初期編もほぼ終わっているので、そこの過去編を今更見ても消化試合感です。
第2部があるとしたら、21歳からのプロ野球編やメジャーリーグ編なのでしょうけど、プロ野球は年間シーズンなので見せ方にかなりの力量が必要になります。この続きからの第2部はなかなか難しいかもしれませんね。
もしあるとすれば、主人公を変えたパターンならアリかもしれません。白戸大輔はメジャーで活躍していて、ヤキュガミが次の才能を見つける系です。
これなら白戸大輔も伝説的に見せつつの、新しい環境で第2部を楽しむことができそうな気がします。
ヤキュガミ漫画単行本
ヤキュガミ第1部の漫画単行本は全4巻ですね。中学~高校1年生がメインです。
本誌人気アンケートも重要だと思いますが、単行本売り上げが連載継続の決め手になるので、もっと売れてほしかったなあと思います。
最後に
野球漫画ヤキュガミ第1部の感想などを書いてみました。
テンポの良さや、ヒット1本への爽快感などはよかったのですが、登場人物にもっと魅力が欲しかったですね。個性的と魅力的は違うはずです。
第1部は残念ながらの巻き展開で終了となってしまいましたが、主人公を変えるパターンの第2部などに期待したいと思います。